切子の色 − 透きと色被せ

透明ガラスと色ガラス

切子に使われているガラスには、大きく分けて2種類あります。

ひとつ目が、無色透明の「透き(すき)ガラス」。
ふたつ目が青や赤に代表される「色被せ(いろきせ)ガラス」。
外側に色ガラス、内側に透明なガラスの二重構造です。
製造方法はさまざまありますが、
型の中に色付きガラスを吹き込み、
内側に透明なガラスを吹き込むのが一般的です。

 


切子は透きガラスからはじまった

江戸切子は、もともと透きガラスでつくられていました。
というのも、切子のルーツであるヨーロッパのカットガラスは、
透明のクリスタルガラス製だからです。

ヨーロッパでは長らく、イタリアのヴェネツィアが
ガラス製造の中心地でした。ヴェネツィアでは、
15世紀半ばに「クリスタッロ」と呼ばれる無色透明のガラスを発明。
16〜18世紀には、ヴェネツィアのカットガラスを模倣したものが
ヨーロッパ各国でつくられるようになり、
ガラス製造の中心地はボヘミア(現在のチェコ共和国西部)や
イギリスへと移っていきます。

江戸切子に使われているのは、主に鉛ガラス。
これは、17世紀後半のイギリスで発明されたもの。
比較的、柔らかくて加工しやすく、光の屈折率が高いため、
キラキラと輝きます。カットを施すことによって、
さらに輝きが増すことから、イギリスでも18〜19世紀に
かけてはカットを積極的に施したものが数多く見られます。

 


切子の代名詞となった色被せガラス

色被せガラスを使ったカットガラスは、
19世紀のボヘミアガラスにしばしば見られます。
同じころ、日本の薩摩地方でも色被せガラスを
使ったものがつくられるなど、日本にも少しずつ浸透。
江戸では、海外の技術が導入されるのをきっかけに、
確立したとされています。

また、大正期から昭和初期にかけて「大正文化・昭和モダン」と
呼ばれる和洋折衷の近代市民文化が花ひらくと、
ヨーロッパの流れを汲むカットガラスが人気を集めます。
その後、戦争による切子職人の減少や、
それにともなう一時的な衰退、産業構造の変化、素材開発、
技術の発展など。さまざまな出来事も重なり、
いつしか切子は高級品の代名詞に。
この中で、色被せガラス=切子というイメージをもつ人々も
増えていきました。

色被せガラスの材料に重宝されるのはソーダガラス。
主に、食器や窓、瓶などに用いられています。
原料に、炭酸ナトリウムが使用されることから「ソーダ」と命名。
古代ではじめてつくられたガラスだとも
考えられています。また、透明度が高く、硬くて軽いのも特徴です。
当店ではソーダガラス製の切子作品も取り揃えております。

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